【結婚式場/サンプルノベル】

披露宴には、「新郎新婦中座」と呼ばれる時間帯がある。

会場から退場し、お色直しを行ったのち、装いを新たに再入場するという、披露宴ならではのパフォーマンスだ。

梨花は昔からウェディングドレスを着るのが夢だった。黄色と赤色のドレスが気に入っていて、選びきれずにどちらのドレスも着ることに決まった。

今は某アニメのヒロインの姿を彷彿とさせる、派手な黄色のドレスを着ている。

 

多少スケジュールの遅れがあったものの、今では何事もなく式が進行している。両家挨拶や、挙式が済んでいることもあって、ほとんど懸念事項は残っていない。後はゲストとの披露パーティーを楽しむだけだった。

扉一枚を隔てて騒ぎ立てている仲間や同僚、親戚の姿を一人ずつ思い浮かべる。アルコールに頬を赤く染め、いつもより少し大きめのボリュームで話す彼らを見ていると、「俺は本当に結婚するのだ」という実感が改めて湧いてくる。

「ではそろそろ準備はよろしいですか?お父様がお手洗いに行かれているそうなので、席に戻り次第再入場致しますね」
「わかりました」

 

 


進行を務める司会者、そしてキャプテンと呼ばれる役職のスタッフが、今後の流れについてざっくりと説明してくれる。再入場が終われば、次は友人代表の余興に移る予定だと聞かされた。

「では行きましょうか」

 

インカムから指示を受けたキャプテンが、別のスタッフへと指示を出す。

それと同時にBGMが聞こえなくなり、俺達の思い出の曲が大音量で流れ出した。

曲に合わせて扉が開き、拍手喝采に包まれる。


何かの主役になることに慣れない自分も、流石にこの瞬間は少しばかり気持ちが良かった。

 

皆から祝福されて、まるで二人の生活をまるっと肯定されるような気分になれた。
 


しかしこれはあくまでもスタートラインにすぎない。
楽しいことも、哀しいことも、充実感も、憤りも、なにもかもをこれから少しずつ経験することだろう。どんなことがあっても、彼女となら乗り越えられると信じている。だから俺は、こうして今この場に立っているんだ。

友人代表のスピーチで、小学生時代の親友から言われた言葉を思い出す。
「幸せと思える貴重な時間を過ごせるのは、この場に二人の人間がいるからです。一人でも幸せになることは出来ますが、二人でしか経験し得ないことが世の中には沢山あります」
ボロボロ涙を流す梨花を見る。思わず繋いだ手をぎゅっと握りしめる。

 

 

 


それに気づいた梨花はこっちを見て、泣きながら微笑んだ。


あぁ、そうか。


こういうことか、と思った。
 

 


新郎新婦の席に到着し、着席する。
音楽は止んでいるはずなのに、頭の中ではあのフレーズが繰り返されていた。俺はこっそり、あの大好きなフレーズを口ずさんだ。

梨花はそれに気がついて、また笑った。

​テラスガーデンウェディング

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